医療・福祉・介護の仕事は「対人援助職」であり、「感情労働」といって患者・利用者が安寧に過ごせるように自分の感情を管理することが求められます。今回は「アンガーマネジメント」をご紹介し、怒りと上手に付き合える手助けになればと思います。
「アンガーマネジメント」とは?
アンガーマネジメントは1970年代にアメリカでスタートした、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。
目的は、怒らない(叱る、注意するも含む)ことではなく、怒りで後悔しないことです。
ですから、怒る必要があることは上手に怒れ!怒る必要のないことは怒らないようになる!ことを目指します。
怒ってはダメなのではなく、怒るものか怒らないものかを区別できていないことが問題ととらえます。
例えば、子供が道路に飛び出そうとしたのでとっさに腕を強くつかんで「危ないだろう!」と怒鳴って子どもが泣いてしまったとします。この怒りは後悔しますか?しませんか?
「問題となる4つの怒り」とは?
「後悔するかどうか」が線引きの基準になります。
怒りは誰にでもある自然な感情で、身を守るために備わっている防衛感情です。また、怒りは第二次感情と言われていて、ネガティブな第一次感情(不安・辛い・痛い・悲しい・淋しい等)が一杯になると生じます。
問題となる怒りは、強度が高い(一度怒ると止まらない、強く怒りすぎる)、持続性がある(根に持つ、思い出し怒る)、頻度が高い(しょっちゅうイライラする、カチンとくることが多い)、攻撃性がある(他人・自分を傷つける、物を壊す)ことです。
自分はどのタイプでしょうか?周囲の人はどのタイプでしょうか?
アンガーマネジメントには3つのアプローチの仕方があります。
「衝動のコントロール」「思考のコントロール」「行動のコントロール」です。
今回は「衝動のコントロール」についてご紹介します。
ある出来事があり怒りが生じた場合怒りのピークは長くて6秒と言われています。6秒間、反射的に怒りを表に出さずにいられれば怒りの爆発は避けられます。この6秒を待つ工夫として「深呼吸」「怒りの点数をつける」「手のひらをグーパーグーパーする」「指折り」「魔法の呪文を決めておく」などがあります。「魔法の呪文」とは、「まぁいっか!」「そのうち忘れる!」「大丈夫!」「なんで今イラッとしたんだろう?」「ほほ~!?そう来ましたか(余裕げに)」などがあります。
6秒しても怒りがおさまらない場合は、相手の目の前から離れてください。